司書のオススメ

掲載日 2020-02-28 00:00:00
タイトル 学生時代にやらなくてもいい20のこと
著者 朝井リョウ
著者
出版者 文藝春秋
資料の種類
メッセージ全文 ★☆★キラキラエピソードという宝物★☆★

『学生時代にやらなくてもいい20のこと』
  
朝井リョウ/著 文藝春秋

 「学生時代にやらなくてもいい20のこと」なんて、まずタイトルから気が抜けませんか?そうなんです。この本は、「やらなくてもいいんだ~」と脱力気味に読んでください。著者が学生時代に経験した、ちょっぴり情けない面白エピソードを綴ったエッセイです。
 著者の朝井リョウさんは、大学在学中に「桐島、部活やめるってよ」でデビューした作家さんです。皆さんより少し先輩の言葉は、大人の固い言葉より、すんなり心に響くのではないでしょうか。朝井さんの言葉には、等身大の若者の悩みや葛藤に寄り添う優しさが端々に感じられます。
 タイトルからは、僕みたいなこと無駄だからやらないことをおすすめする!とも取れますが、どれもこれも学生時代にしかできない貴重なものばかり。田舎から出てきた著者が都会で孤軍奮闘する様、友人との行き当たりばったりの旅行、そしてさらには東京~京都まで6日間自転車で行く地獄の500キロバイクなど。この先一生味わえない感動だったそうです。
 失敗談でさえ笑い飛ばす著者のたくましさが爽快です。一見無駄とも思えることが、全てかけがえのないキラキラした思い出に変わっていくことも同時に教えてくれます。
 「やらなくてもいいこと」だけど、色々経験しないと必要か不必要かもわかりません。失敗を恐れず、大いに色んなことにチャレンジしてほしい!という、著者から皆さんへのメッセージなのかもしれません。
(若林図書館 原っぱ)