司書のオススメ

掲載日 2016-04-01 00:00:00
タイトル ワンダー
著者 R.J.パラシオ/作
著者 中井はるの/訳
出版者 ほるぷ出版
資料の種類
メッセージ全文 「自分らしく生きる」

自分は周りと違う、と思ったことはありませんか。友達と比較して落ち込んだり、些細な違いが気になったり。それは成長の過程で誰もが経験する、ごく普通の感情なのかもしれません。オーガストも、ごく「普通」の男の子でした。ただし、顔以外は。

 生まれつき、顔に障害があるオーガストは、手術を何度も繰り返したために、10歳になって初めて学校に通うことになります。自分たちとあまり違うオーガストの顔に、驚き、悲鳴をあげる生徒たち。彼らはオーガストを避けますが、一方で、オーガストの話を面白いと感じ、仲良くなろうとする生徒も現れます。オーガストをめぐって、クラスは敵、味方、中立に分かれるのでした。

 この本は、オーガスト自身や彼の友達、彼の家族など、さまざまな登場人物の視点から物語が進行していきます。登場人物の揺れ動く思いを通して、ほんとうの友情とは、勇気とは、自分らしく生きるとはなにかを考えさせられます。『ワンダー』の意味は驚き、不思議、そして奇跡。そんなタイトルにふさわしい一冊です。

(泉図書館 伊藤 美穂)