司書のオススメ

掲載日 2016-03-01 00:00:00
タイトル 跳びはねる思考 
会話のできない自閉症の僕が考えていること
著者 東田直樹/著
著者
出版者 イースト・プレス
資料の種類
メッセージ全文 「苦しみを言葉にする」

悩んでいるときに一番つらいのは,自分を悩ませているものの正体が何なのか,わからないときではないでしょうか。自分が何に悩んでいるのか,どうして苦しいのかを言葉にできると,解決策もおのずと見えてくることが多いものです。

 この本の著者の東田直樹さんは,人と会話をすることのできない自閉症者。ひとりごとや奇声,「こだわり行動」の数々が理解されないゆえに,幼い頃から他人の刺すような視線にさらされてきたそうです。思いを言葉にできなかった幼い頃は泣いてばかりいたとか。「幸福になるために」何度も何度も自問自答を繰り返し,それによって見つけ出したことがこの本には綴られています。自分が苦しかった理由はもちろん,自分は何を求めているのか,これからどんなふうに生きていきたいのかということ……。

 東田さんは自閉症者のことを理解してほしいという思いから執筆活動をしているそうですが,気がつくと自分自身について振り返ってしまっている……そんな1冊です。

(市民図書館 佐藤 文)