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掲載日 2025-02-28 10:00:00
タイトル

友だち関係で悩んだときに役立つ本を紹介します。

著者 河出書房新社/編集
著者 金原ひとみ/ほか著
出版者 河出書房新社
資料の種類
メッセージ全文 『友だち関係で悩んだときに役立つ本を紹介します。』
河出書房新社/編集 金原ひとみ/ほか著 河出書房新社

★☆★「友だち」その頼もしくも悩ましい存在について★☆★

  タイトルと表紙のまったり感が気になって手に取った本でした。目次を見ると、作家の金原ひとみ、金原瑞人などの知っている名前があります。紹介している本は読んだことがない本もありましたが、ミヒャエル・エンデの『モモ』や絵本『ぐるんぱのようちえん』など懐かしい本が…。

  この本は、小説家や建築家、アナウンサーなど19名の著名人が、友だち関係や将来について迷う中高生に向けて書いたブックガイドです。しかし、本の紹介というより、本を題材にして「友だちとは何だろう」というエッセイを読んでいるような気がしてきます。
  さまざまな分野で活躍している人たちなので、アドバイスもバラエティ豊か。例えば、ゲーム作家の米光一成は、この本を読んでいる「君」が何に悩んでいるのか分からないから、開くたびに内容が変わり、どんな悩みにも答えてくれるということで、タロット占いの本を紹介していたり、国語辞典編纂者の飯間浩明は「友だち」とは何かを国語辞典風に説明したりしています。
  「どこも自分の居場所じゃないような気がするとき」で答えているのは、篠原かをりという動物作家。紹介している本は絵本『ぐるんぱのようちえん』です。とっても大きなぞうのぐるんぱは、大きいがゆえに仕事を転々とするのですが、幼稚園に自分の居場所を見つけます。「大切なのは、自分が出会った人たちが世界の全てじゃないってこと。学校のクラスや部活、塾の友達までみんな上手くいかなかったら、自分は誰とも上手くやれないのだという気持ちになってしまうけれど、本当に本当に少しの人たちと上手くいかなかっただけなのです。学校に通っている間は、特に出会う人の幅が狭いものです。」とアドバイスしています。
  他にも、「ともだちと価値観が合わないと感じたとき」や「「世界で一番自分がつらい」と感じたとき」など、友だち関係という答えのないテーマだからこそ、いろいろな話が収められています。この本を読んで、誰もが多かれ少なかれ、友だち関係で悩み、自分なりの落としどころを見つけて大人になってきたのだなと思いました。
 深刻なお悩み相談の本ではありませんので、気になる見出しを見つけたら、その部分だけでも読んでみてください。きっと、モヤモヤしていた気持ちを軽くしてくれる本に出合えるかもしれませんよ。

(泉図書館 そら豆)