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掲載日 2022-11-25 00:00:00
タイトル

空を見上げてわかること
身近だけど知らない気象予報士

著者 斉田季実治/著
著者
出版者 PHP研究所
資料の種類
メッセージ全文 ★まわり道したっていいじゃない★
『空を見上げてわかること 身近だけど知らない気象予報士』
斉田季実治/著
PHP研究所

 この本を書いたのは、気象予報士の斉田さん。NHK夜9時の「ニュースウオッチ9」のお天気コーナーを担当しているので、平日は毎日テレビに登場しています。
  気象予報士さんの書いた本なので、もちろん「天気」に関する話題が豊富。ニュースのお天気コーナーの裏側や、最近多い異常気象への備え、果ては宇宙天気なんてものまで…!さらに興味深いのは、斉田さんが気象予報士として仕事をすることになった経緯です。とんでもなく紆余曲折があります。

 斉田さんは子どもの頃、日本のあちこちに引っ越ししました。「その土地によって天気が随分違うんだな」と気象にほんのり興味を持ちますが、高校時代は勉強そっちのけでラグビー三昧。その後、命を救う仕事がしたいと医学部を志望するも、二浪して結局医学部ではなく、北海道大学の水産学部へ進学します。乗船実習があり、海上では天気を見誤ると命に関わることから「気象予報士」の資格に興味をもち、大学在学中に合格します。

 大学卒業後は北海道のテレビ局へ。天気ではなく報道を担当しますが、台風や地震の悲惨な現場を見て、災害を報道するよりも「命を守るため」の、災害を防ぐ仕事をしたくなります。30歳を目前にして、民間の気象会社へ転職。気象予報士として再スタートを切るのです。…実はテレビ局をやめて転職する前に、再び医学部受験に2回トライして挫折…ということも。

 子どもの頃に初めて天気に興味をもってから、気象の仕事をするようになるまで、随分回り道をしたように見える斉田さん。でも命を救いたい、守りたい、という気持ちは一貫していました。回り道があったからこそ、今の自分がある、と力強く断言しています。その時々で、自分の意志で自分の道を選んできたからこそ言える言葉でしょう。

 コロナ禍、戦争…今の世の中10年後だって、どんな世界になっているかわかりません。それならば、まわり道をしても「自分がやりたいこと」を軸にして進んでいった方がいいんじゃない?そんなメッセージが込められた本です。
(太白図書館 まっきー)