司書のオススメ

掲載日 2020-12-25 00:00:00
タイトル もしも虫と話せたら
昆虫が教えてくれた生きづらい世の中を生き抜く自然の鉄則15
著者 ペズル
著者 じゅえき太郎
出版者 プレジデント社
資料の種類
メッセージ全文 もしも虫と話せたら 昆虫が教えてくれた生きづらい世の中を生き抜く自然の鉄則15
ペズル/文、じゅえき太郎/絵、須田研司/監修
プレジデント社

 正直言って、虫は大のニガテ。
 でもこの本は、そんな私でも大爆笑しました。

 人間関係がうまくいかず、生き方に悩む青年・太郎が、雑木林でしゃべる昆虫たちと出会い「生きづらい世の中を生き抜く自然の鉄則」を教えてもらう。なんて説明すれば感動的だけど、すっとぼけたイラストと、我が道を驀進する虫たちの会話はおかしすぎです。

 葉っぱにそっくりなオオコノハムシは、葉に擬態できるけど、その代わりに飛べなくなって、あまつさえ葉に間違えて仲間にかじられることもある。(「長所と短所は表裏一体」)

 葉っぱにつかまる握力もないので、すべて人間におまかせの蚕は「カイコ、自分じゃなんにもできないの」「生き物はね、慣れちゃうの」と開き直る。(「頼りになる人」はあなたを「無能にする人」かもしれない」)

 意中のメスを見つけたら、オスは命がけでダンシング!蜘蛛のメスは気に入らないオスを捕食してしまう。「だから後悔しないように全力で踊ってメスに思いを伝えるのさ」(「思いは伝えなきゃ、思っていないのと同じさ」)

 虫たちの話は極端に見えて、なぜか説得力があります。
 なにせ、彼らは毎日生きることに必死。寿命を全うできる確率は、人間よりもずっと少ないんですから。
 それに、「虫は人間より約5億年先輩」だそうだから、やはり生き抜く力のスケールも大きいんですね。凄すぎて斜め上に行っちゃってるけど。

 かといって、やっぱり虫を直視するのは難しい。(鳥肌立ちます)
 それでも、これからは足元の世界に敬意を表したいと思います。

 人間関係の悩みがある人へ。
 笑って考えて、息抜きにぴったりな一冊です。
             市民図書館しば