司書のオススメ
掲載日 | 2017-06-01 00:00:00 |
---|---|
タイトル | 風をつかまえた少年 |
著者 | ウィリアム・カムクワンバ/著 |
著者 |
ブライアン・ミーラー/著 田口俊樹/訳 |
出版者 | 文藝春秋 |
資料の種類 | 本 |
メッセージ全文 |
「学ぶこと」 今月は多くの学校が試験期間。机に教科書や参考書を広げて頭を悩ませた月だったと思います。全く解けない文章題を前にずっとうなっていたり、頑張ったのに結果が出なかったりすると、ふっと、勉強することが空しくなってしまうのではないでしょうか。 この本はウィリアムという14歳の少年の実話を描いています。ウィリアムはアフリカのマラウイという国で生まれ育ちました。マラウイは豊かな国ではありません。電気を使用している国民は全体の2パーセントほど。ほとんどの人が農業を仕事にして暮らしています。不作で食糧の蓄えが尽きると大勢の餓死者が出ます。ウィリアムが育った環境も例外ではなく、彼は家に電灯をともせたら、飢餓に苦しまずに済んだらどんなにいいだろうと思っていました。 飢饉が起きてウィリアムは学校に行けなくなりました。収入がなくなり学費が払えなくなったからです。そしてその日の食べ物にも困るような生活が続きました。それでもウィリアムは勉強をしたいと思っていました。いつか学校にもどるために少しでも知識を得たいと訪れた図書室で見つけた本が彼の運命を変えます。ウィリアムは本に載っていた風車の写真とエネルギーについての説明を読んで、風車をつくれば自分の家で発電ができるのではないか?と考えたのです。 この思いつきをウィリアムは実行に移しました。周りの人は彼のアイディアを理解せず、廃品置場で材料をさがすウィリアムを笑ったり、おかしなものをつくっていると不審な目で見たりしました。けれどウィリアムはあきらめませんでした。友人の協力と学んだ知識をもとにやり遂げたのです。彼の家には、電灯の明かりがともりました。風車での発電に成功したことをきっかけにウィリアムの未来は次々と開けていきます。 ウィリアムにとって学ぶことは、夢を叶えて不自由から解放されるための確かな手段でした。しんどいことでもはっきりと意味を見出していると耐えられるものです。自分にとって学ぶことはどんな意味があるのか、何に繋がっているのか、じっくり考えてみるといいかもしれません。その答えを見つけられたらきっと力が湧いてきます。 (市民図書館 笹の葉) |
---|