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掲載日 | 2019-02-27 00:00:00 |
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タイトル | クローバー・レイン |
著者 | 大崎梢/著 |
著者 | |
出版者 | ポプラ社 |
資料の種類 | 本 |
メッセージ全文 |
出版大手の千石社に勤める若き編集者・彰彦がある日出会った一点の原稿。出版先が決まらないというその原稿を自らの手で世に出したい、意気込む彰彦に著者の家永は原稿を託してくれる。出版がかなわない時は手放す、とだけ約束をさせて。 自社に持ち込むも出版業界の苦さを知る家永の恐れた通り、作家としてはすでに過去の人扱いの家永の原稿を千石社は求めていなかった。厳しい現実を突きつけられ、それでも彰彦はどうしても諦めきれない。何とか出版に結び付けようと書店員や営業マンの力も頼り奮闘する中で、自身の編集者としての未熟や傲慢さに気付いていく…。 編集者としての彰彦の思いを主軸に、作家・家永とその娘・冬実の確執、婚約者のいる彼女への淡い恋心、そして、そうまでして自身がほれ込んだ作品を自らの手で世に出したいという願いの裏にある彰彦自身の過去など、多彩な要素が織り込まれている。 最後の一文まで読んだとき、この本のタイトル「クローバー・レイン」の意味に触れ、とても優しい気持ちに包まれる美しい小説。本を愛する人にぜひ読んでほしい。 (仙台市広瀬図書館 まさお) |
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