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掲載日 | 2017-09-01 00:00:00 |
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タイトル | 時計坂の家 |
著者 | 高楼方子/著 |
著者 | 千葉史子/絵 |
出版者 | 福音館書店 |
資料の種類 | 本 |
メッセージ全文 |
12歳の夏休み。フー子は、いとこのマリカに誘われ、7年ぶりにひとりで汀館の祖父の家にやってき た。近くに古い時計塔が建つ祖父の家で、フー子は、2階の階段の踊り場の先にある、打ち付けられた扉の存在に気づく。その扉についた窓枠には、蓋が黒く錆びた古い懐中時計がかかっており、フー子が窓を眺めていると突然時計がコチコチと時を刻み始め、次第に白い花へと変化し、やがて窓の向こうの空間に緑の園があらわれた。その不思議な庭園に引き込まれていったフー子は、過去に、扉の外にあった物干し台から祖母が落ちて死んだことを知り、マリカの(別な祖父方の)いとこの映介は、時計塔の時計の制作者で、昭和初期に汀館を訪れたロシア人時計職人チェルヌイシェフの秘密を追い始める。 フー子の心のゆらぎを丁寧に描きながら、過去から現在へ続く謎が明らかになっていくぞくぞくする魅力的な物語です。 物語を読む醍醐味は、その物語の世界に入り込むことでもあります。ただ、本当に没頭できる作品に 出会えることはまれで、良い物語であるという以上に、自分と波長があうかどうかが大切なのかもしれません。もしそんな物語に出会えたら、一時現実は忘れ、ぜひその世界に入り込んで堪能してください。宝物のような時間があなたの心に残るはずです。 (宮城野図書館 あおぺん) |
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